五感で学ぶ環境の島「佐渡」~体験しよう!「食・農・環境」学習プログラム~

トキを調べよう

トキは昔の日本ではどうだったの?

・トキは大昔から日本に住んでいました。奈良時代の書物には「ツキ」「ツク」などの名で書かれており、『日本書紀』や『万葉集』では、漢字で「桃花鳥」と記されています。平安時代に入ると「鴾」や「鵇」の字が当てられるようになり、「タウ」「ツキ」と呼ばれていました。「トキ」という名前が出てくるのは江戸時代ですが、「ツキ」「タウノトリ」などとも呼ばれていたようです。

・古代の日本では神聖な鳥として考えられていたようです。三重県伊勢市にある伊勢神宮におさめられている宝物の一つに、須賀利御太刀という宝石で飾られた宝刀がありますが、この刀の柄には、トキの羽が使われています。

・『本朝食鑑』という江戸時代の食べ物についての辞典には、トキは美味と記されています。しかし「味はうまいのだが腥(なまぐさ)い」とあり、決して日常的に食べていたのわけではなく、冷え症の薬や、産後の滋養としてのものであったようです。

・調理の方法は「トキ汁」として、豆腐あるいはネギ・ゴボウ・サトイモなどと一緒に鍋で煮ていました。しかし、生臭い上に、肉に含まれている色素が汁に溶け出して赤くなり、また赤い脂が表面に浮くため、灯りのもとでは気味が悪くてとても食べられなかったようで、「闇夜汁」とも呼ばれていました。

・大名武士の殿様などは鷹狩を行いましたが、キジやウサギなどと同じようにトキも狩りの獲物にされました。鷹狩とは、オオタカやハヤブサなどの猛禽類を訓練して狩りを行うことです。六代将軍徳川吉宗が、鷹狩りでトキをとらえたようすが「徳川実紀」という書物に記録されています。

・トキは田畑を踏み荒らす害鳥として、あまり好かれてはいなかったようです。仏教の影響で肉食が避けられ、鳥や動物が保護されていた江戸時代においても、あまりにトキが多くて困っていたため、お上にトキの駆除を願い出た地域もあったほどでした。

・江戸時代までは幕府によって一般人の狩猟は制限されていたこともあり、羽は工芸品や、弓矢の矢羽根に利用されることもありましたが、それほどたくさん使われていたわけではありませんでした。明治時代になって誰でも狩猟ができるようになると、田んぼなど人里に近い場所にやってくる大型の鳥であるトキは、格好のマトになってしまいました。また、羽ほうき、羽ふとん、カツオ漁のための疑似餌などに利用出来ることもあって、乱獲されてしまったのです。

>>「トキ」を調べようにもどる